- 金融業界歴約35年!Masahiro Kumegawaさんが語る証券会社のDXとこれから
金融業界歴約35年!Masahiro Kumegawaさんが語る証券会社のDXとこれから
この記事に登場するメンター
今回は、新たにメンターに就任したKumegawaさんにインタビューさせていただきました。今まで14社をご経験され、副業として12案件ものプロジェクトに携わってきたKumegawaさん。証券会社DXの真髄に迫ります。
-学生時代の研究内容を教えてください
大学ではオペレーションズ・リサーチやシステム工学を主専攻とし、研究はNEC中央研究所と共同で、工場の生産管理システムを構築していました。この生産システムは、離散型シミュレーションという手法を使い、工場の各機器・労働者・素材などのデータを管理・分析するものです。大学院に進学してからも同じ研究を継続しました。
-ご経歴を教えてください
関西大学大学院を卒業してから現在まで、外資系国内系を含め14社を渡り歩いてきました。主に、証券取引・精算・資金管理のためのシステム・ツール開発、プロジェクト管理をしてきました。その他、ディーラーとして資金運用をしたり、CTOとして新人教育や組織開発などにも携わりました。ちなみに、現在所属のマネーフォワードに在籍するきっかけになったのは、マネックス証券時代に現マネーフォワードCEOの辻さんと一緒にお仕事をしたことです。
- 1992-1997 日興証券株式会社(現SMBC日興証券株式会社)
- 1997-2000 ソロモンブラザーズアジア証券会社(現シティグループ証券会社)
- 2000-2001 シュワブ東京海上証券株式会社
- 2001-2004 クレディ・リヨネ証券株式会社(現クレディ・アグリコル証券会社)
- 2004-2004 エース交易株式会社
- 2004-2005 株式会社シンプレクス・テクノロジー(現シンプレクス・コンサルティング)
- 2005-2006 株式会社野村総合研究所
- 2006-2013 マネックス証券株式会社
- 2013-2016 楽天証券株式会社
- 2016-2017 AFG株式会社
- 2017-2019 株式会社FOLIO
- 2019-2021 楽天証券株式会社
- 2022-2023 カイカフィナンシャルホールディングス株式会社
- 2023-2024 株式会社MILIZE
- 2024.7~ 株式会社マネーフォワード
2016年からは、FinTech企業でのコンサルティングやPM業務を副業として12案件に携わってきました。ほぼ全てが証券会社、FinTech企業での業務経験となるため、金融業界一筋といっても過言ではありません(笑)。
-金融業界に興味を持ったきっかけは何ですか?
大学在学中にブラックマンデーが起きたのをきっかけに、株式に興味を持ちました。ブラックマンデーとは、1987年10月19日、ニューヨーク株式市場で起こった過去最大規模の暴落のことです。
学生ながらに社会を見ていて、「今日も明日も明後日も会社は変わらないのに、なぜ株価は日々変動するんだろう?」と純粋に疑問を抱き、変動する意味を知りたいと思い金融業界の中でも特に証券会社への就職を目指すようになりました。
話が逸れますが、研究室の教授は度々「パチンコで勝て!負けるのはダメだ」と言っていました(笑)。これは、ちゃんと統計を取って分析すれば確実に勝てるはずで、勝てない人はそれを怠っているということを示唆しています。ということは、「株の方が簡単に勝てるんじゃ?」という仮説を持つようになり、そういった環境からの刺激も株式への関心に繋がりました。
-証券会社のDX化における伸びしろはどのあたりでしょうか?
14社経験してきた中で、証券業界のDX化は他業界と比較してかなり遅れていると感じています。
遅れている背景は、法的規制にあると思います。証券会社などの金融商品取引業者は、金融商品取引法にのっとって業務を行わなければなりません。この法律には金融商品の取引に関する様々なルールが定められていて、DX化させるための法的確認作業にかなりの時間を要し、許諾を取るための申請等の手間もかなりかかります。
また、働いている社員もリスキリングというような考えがない方が比較的多く感じられました。法制度や社会は進歩しているのに、社員の認識が更新されず、古いルールのまま正しいと思っている社員も多く見受けられました。この点は、FinTech企業で金融を知らない若年層の社員と接する中で感じ取ることができました。
昨今では、法改正が進んだり新しいやり方に挑戦するFinTech企業が生まれるなど変化が見られるため、今後さらに証券業界でのDX化が加速していくことを期待しています。
-これからのエンジニアの求められる力は何だと考えますか?
ズバリ、何に対しても興味を失わないことだと思います。
エンジニアは、良くも悪くも真面目な人が多く、自分のやるべきことはここであると線を引きたがる人も少なくありません。もちろん、自分の責務を果たすことは重要ですが、時にはその線を超えた経験を積むことも、長いエンジニア人生にとってプラスになるのではと思います。
私は、今までのキャリアの中で様々なことに挑戦してきました。ある時はディーラーとして顧客に営業をかけ、ある時は論文を書き、またある時はFinTech企業に飛び込んでみました。
【2008年に書いた論文:株式市場における売買注文状況と日中価格変動の解析】
1年半のディーラー経験は、エンジニアとしての業務メインで薄れかけていた株式への興味を取り戻させてくれました。また、社会人になって一つのテーマを深く突き詰める経験はあまりできないので論文執筆は思考を鍛えてくれました。そして、FinTechベンチャー環境が、意思決定スピードや裁量権において自分に向いていることに気づくことができました。
金融業界一筋ではありますが、金融業界の中でもいろんな経験をさせていただいたからこそ今も求めてくれる企業がいて、自分の居場所があるのだと思います。自分の限界を決め過ぎず、いろんなことに興味を持って歩んでいってみてください。
-今後の目標を教えてください
私は今年57歳になり、これまでのサラリーマン生活の知り合いもそろそろ定年の時期になります。「こういうことがしたい」という気持ちの面で、趣味と仕事が一緒になってきている感覚に近いので、きっと働くのが好きなんでしょうね。「これから一緒に会社を作ろうか」などと変化のチャンスと考えている仲間も結構いますので、私も挑戦し続け、定年を考えなくてもいいような”生涯現役”でありたいと思っています。
-どのような想いでメンターになりましたか?
今まで経験してきたエンジニアやPMとして経験を伝えることがこれから活躍する若い人たちのためになれば嬉しいと思い、メンターになることを決めました。採用、チームビルディング、新人教育などに多く携わってきましたので”人を育てる”経験を活かしていければと思っています。
-最後に、TechTrainユーザーに一言お願いします
就職・転職活動における相談や、どんな学習をしていけばいいのかなどの相談は大歓迎!最近はコーディング業務から離れているので、最先端技術の質問は他のメンターにされるといいかもしれません(笑)。証券会社に興味がある方や就職を目指している方は、業界の中身をたくさんお話できますし、事業開発などエンジニアの枠を超えてビジネス寄りの仕事を目指す方も私の経験をお話できると思うので、ぜひ面談しましょう。
Kumegawaさん、インタビューありがとうございました。
常に興味関心を絶やさない姿勢が職種を超えた経験につながり、そして生涯現役へとつながっていくのですね。1社務め切る方が多い金融業界で、複数企業を経験されてきたKumegawaさんとの面談は、業界知識を深められるチャンスでもあり、生涯現役を目指すための具体的なアドバイスをいただける機会に!
TechTrainでは今回インタビューに答えて頂いたKumegawaさんをはじめとして、140名以上のメンターから無料で1on1メンタリングが受けられます。サイドメニューの「面談予約」からぜひメンタリングの予約をしてみてください。