最先端を“動くコード”に変える。研究と実装をつなぐリサーチ×実装のリアル

2025.06.23読了目安: 5
メンターインタビュー
最先端を“動くコード”に変える。研究と実装をつなぐリサーチ×実装のリアル

「どんなに素晴らしい研究も、使われないと意味がない」そう語るのは、自動運転技術の最前線で、研究をプロダクトに変え続けるエンジニアのShintaroさん。

コードも書けず、何もできなかった時代から、どうやって理想の働き方にたどり着いたのか。実装とリサーチ、両輪でキャリアを切り拓いてきた道のりに迫ります。

「コードが書けない」から始まった、キャリアの一歩

大学1年でプログラミングに出会い、ベンチャーでアルバイトを始めましたが、コードは意味不明、エラー続きで無力さを痛感する毎日。それでも少しずつ書けるようになり、楽しさも感じられるようになっていきました。そして、就活が始まる頃には、「もっと多くのユーザーに価値を届けたい」と思うように。そんな中で参加したクックパッドのインターンでは、ただ動くものを作るだけでなく、ユーザーの声を意識して開発する面白さに初めて触れました。

その後もクックパッドでバイトを続けましたが、技術力の壁に何度もぶつかり、タスクをこなせず悔しさや無力感に押しつぶされそうになることも。それでも、「もっと良いものを届けたい」という気持ちは消えませんでした。次第に、届けるにはコーディング力だけでは不十分なのではと感じるようになりました。

「届けたい」が導いた、研究という道

就職か大学院か。将来を考え始めた大学4年の頃、ちょうど機械学習やディープラーニングの研究が注目を集めていました。Webエンジニアとして働くなかで、「ユーザーに価値を届けるには、どう課題に応えるべきか?」という問いが、次第に大きくなっていきました。大学でも研究に触れる機会が増え、アルバイト先のクックパッドでもリサーチに関わるように。本を読んでコードを書くうちに、研究そのものの面白さにも惹かれていきました。

当時は本当に迷っていたんですが、「もっと良い技術を、ちゃんと届けたい」と考えたときに、「やっぱり研究だな」って、すごく腑に落ちたんです。学ぶことは多く、リサーチ自体とても面白かったのですが、それと同時に、ある不安も芽生えていきました。

届ける実感が導いた、研究×実装というキャリアの軸

コーディング力もなく、ユーザーとの距離感にもやもやしていた頃、機械学習を使ったiOSアプリ刷新プロジェクトでAPIチームに異動し、本格的にソフトウェアエンジニアとして挑戦を始めました。しかし現実は厳しく、わからないことだらけ。プライドもあって助けを求めにくく、心が折れそうになりました。

でも「前より1行でも良いコードを書く」みたいな小さな目標を積み重ねていくことで、前に進める実感が持てたんです。リリースされ、自分のコードが役に立つ。その実感こそがやりがいだと気づきました。そして、どんなに素晴らしい研究も、実装されなければ価値がないという考えは、ここから生まれました。

今は自動運転のスタートアップであるTuring株式会社で、最先端の論文を読み、プロダクトに落とし込む日々を送っています。研究と実装の両輪でユーザーに価値を届けることが、自分のエンジニアとしての軸になっています。

「難しいを楽しむ」謎解きとしての技術探求

研究成果を社会に届けることは、一筋縄ではいかない挑戦です。どれほど理論的に優れた技術でも、実環境で動かし、ユーザーに価値を届けるには多くの壁があります。だからこそ「これ、いけるかも?」という仮説が「できた!」に変わる瞬間に、私は強いやりがいを感じます。

私にとって難題に向き合うことは、まるで謎解きのような感覚なんです。最近では、『大規模AI学習用データ生成基盤を支える技術』の記事でも紹介したように、クラウド上での非同期処理やスケーラブルな設計といったゼロからの構築に取り組みました。膨大な計算と精緻なフィルタ設計が必要で非常に困難でしたが、その分没頭でき、楽しくもありました。研究と実装、その両輪で技術をかたちにしていくことが、いま私が理想とする働き方です。

“できた”の積み重ねが、理想へとつながる

挫けそうなとき支えになったのは、クックパッドCTOの「楽しんでやってるやつが無限に伸びていく」という言葉でした。すぐに楽しめたわけじゃないけれど、毎日没頭していくうちに、自然と楽しくなっていった気がします。そんな積み重ねが、気づけば力になっていたんです。

努力は、生活のあちこちに分散していていいと思っています。プログラミングが進まなくても、ちょっと早起きできた、机を片づけたみたいな、”小さなできた”が、「ちゃんと進んでる」という実感につながるんです。

今、挑戦の途中だったり迷っている人へ伝えたいのは、いきなり「理想の働き方」を実現しようとしなくていい。私も、書籍を読み直す、1つの論文を読み切る、机を片づけるといった積み重ねが、理想に近づく原動力になりました。小さな努力を続けること。それが、理想の働き方への一歩になるのかもしれません。


迷いながらも、小さな“できた”を積み重ねていくこと。
Shintaroさんの歩みは、そんな毎日がやがて理想につながっていくことを教えてくれました。まずは今日、自分なりの“できた”をひとつ。 その一歩が、未来を少しずつ作ってくれるはずです。改めて、Shintaroさん、貴重なお話をありがとうございました。

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