• ものづくりの始まりはレゴだったWangchangdogさんが伝えたい、これからのエンジニアに必要な力とは..

ものづくりの始まりはレゴだったWangchangdogさんが伝えたい、これからのエンジニアに必要な力とは..

2025.01.21読了目安: 9
メンターインタビュー
ものづくりの始まりはレゴだったWangchangdogさんが伝えたい、これからのエンジニアに必要な力とは..

この記事に登場するメンター

今回は、エンジニアとして開発をメインにしながら、専門学校で非常勤講師もされているWangchangdogさんのインタビューです。新天地でさらに成長を加速させようとしている想い、そしてこれからのビジョンについても伺っていきます。

趣味のスキーの様子

今までのご経歴を教えてください。

新卒では、自動車が好きだったこともあり、TOYO TIRE株式会社へ入社し、技術部門で製品開発をしていました。タイヤの開発には多くの時間を要し、もっとスピード感持った開発がしたいと思ったことがソフトウェア開発に興味を持ったきっかけです。

2018年頃からプログラミングを学び始め、2年弱のフリーランス期間を経て、2021年に80&Companyに入社。当時は社員3~4名ほどの規模で、これから会社も事業も大きくなるフェーズでした。エンジニアとしてフロントからインフラまで広く経験が積めそうだなという点と、代表の堀池さんの”人の意見を大切にする姿勢”に尊敬の念を抱き、入社を決意しました。3年3ヶ月在籍し、0→1の経験を積む中で、今後のキャリアの方向性として、広く一般に使われているサービスに携わることで、既存サービスをさらに良くしていくための技術・マインドを持てるようになりたいと思い、2025年1月にさくらインターネット株式会社に転職しました。

技術者になるまでの経緯を教えてください

小さいころからものづくりが好きで、特にレゴブロックに多くの時間を費やしていました。ひとつひとつは単なるブロックに過ぎないのに、頭の中でイメージして組み立てていくとちゃんとした物体になるのがおもしろく、中学生になる頃には「将来は技術者になりたい」と思っていました。

私が技術者への道へ踏み出したきっかけは、高専に進学したことでした。親の影響で高専の存在を知り、高専祭に足を運んでみたことがありました。そこには、伸び伸びと取り組む学生の姿があり、自分の責任を全うし、その上でやりたいことを自由にできる学校文化が自分の肌に合っていると感じ、高等専門学校へ進学しました。

高専時代は、自作PCを組む機会があったものの、当時Windows OSが高価だったため、無料で使えるUbuntu(Linuxディストリビューションの一つ)をインストールして遊んでいました。ものづくりが好きな自分にとってパソコンを作ることも、高専で専攻した都市工学の勉強も楽しかったです。

都市工学も楽しかったですが、もっと幅を広げて勉強したいと思い、大学の編入試験を受けて農学部に進学しました。農学部で学ぶ農業工学は、機械、電気、土木、水文学、気象学など、様々な工学の領域が関連しているので、当初の希望通り様々な知識を身に付けることができました。

幅広い分野の勉強を経て、新卒でTOYO TIREに入社し、見事技術者になる夢を達成しました。もともと自動車が大好きだったことや、タイヤという工業製品の難しさに魅了されたことが理由です。ITエンジニアへキャリアチェンジについて聞かせてください

タイヤの開発はとても楽しくやりがいを感じていましたが、トライアンドエラーのサイクルをもっと早く回したいと思ったのが理由です。タイヤは、一つの製品を世に出すまでに最短でも1年から1年半以上かかります。タイヤは自動車と地面の唯一の接点であるため、法規対応やテストを繰り返し、すり合わせを何度も行う必要がありますが、ソフトウェアだと、やる気さえあれば1日に何度もデプロイを行うことができますし、リリース後も高い頻度でトライアンドエラーに取り組め、スピード感や変化の多さに魅力を感じました

当時の自分は、ソフトウエア開発に関してはあまり触れたことがありませんでしたが、2018年頃は既にソフトウェア開発に関する情報がオープンに公開されている状況だったため、手を出しやすく、興味を満たす目的と技術習得の両方を目指し学習を始め、エンジニアとして働き始めることとなりました。。

フリーランスエンジニアとしてどのような経験を積みましたか?

基本的に何でもやるスタンスでフリーランス期間を過ごしていました。友人から案件を紹介してもらったり、企業専属の業務委託としてWebサイトの開発に従事しました。また、エンジニアが敬遠することが多いWordPress構築をすることもありました。当時はとにかく必死で、経験を積むための経験だと自分を鼓舞してやり抜きました。

フリーランスとして働くと、もちろん教えてくれる先生はいません。分からない時に自力で壁を乗り越えなければならない苦労も味わってきました。ですが、フリーランスとしての経験があったからこそ、「開発する」という観点だけではなく、顧客のニーズを理解し、提供できる価値を具現化すると同時に、コスト管理や生産性の向上を目指していくといった一連の売上の立て方を理解できるまでに成長できました。そして、苦労している人の気持ちはよく分かるので、TechTrainメンターや専門学校の非常勤講師の仕事で寄り添うスタンスを大事にできているのだと思います。

専門学校で非常勤講師をする上で、どのようなことを大切にしていますか?

生徒と対峙するときは、単に開発スキルを教えるだけではなく、学生自身が問題解決能力を身に付けることを目指していますそれは、分からない問題に対してどのようにアプローチするか、そしてそれをどのように解決していくかを自分で考える力が重要だと考えているからです。

現在、専門学校の非常勤講師として、Next.js、React.js、TypeScript、HTML、CSS、JavaScriptの授業を担当しています。生成AIが発展している現代では、プログラミングスキルだけを持っていてもあまり大きな意味を持ちません。そのため、私の授業では実習型の授業スタイルをとっています。生徒が自主的に課題を解いていき、そこで当たったエラーを解決する力を鍛えています。

具体的には以下のようなスタイルで進めていきます。

  1. 生徒が質問してきた時、「エラー文は何て書いてある?」と逆質問します。
  2. エラー文は大抵の場合、英語で書かれているためほとんどの学生が意味を理解することができないので、ChatGPTなどの生成AIに入力して翻訳を促します。
  3. 翻訳によって、エラー文の内容や解決するためのヒントが書かれていることがわかる状態に持っていきます。
  4. ここから初めて具体的なアドバイスをします。

TechTrainメンター面談でも、問題解決能力を高めることを大切にしているのですね

TechTrainのメンター面談でも同じように、ユーザー自身で解決できるようにサポートしています。

今までのプログラミング学習は、プログラミング自体を教えるものが多かったと思いますが、これからの時代は生成AIが作ったコードを人間が判断してアプリケーションを作っていくようになると思います。だからこそ、自分の力で分からないことを解決していく能力が不可欠だと考えています。

余談ですが、みなさんにはエンジニアがかっこいい仕事だと思ってほしいと思っています。自分は没頭して何かを作ることが大好きで、それが世の中に出たときの達成感は言葉では言い表せません。また、変化が大きく流れが早いので、刺激的な仕事だと感じているので、これからエンジニアになる人にも、その面白みをプロダクト開発を通して味わってもらえるといいなと思っています。

TechTrainメンターへの想いを教えてください

メンターという役割を通して、IT業界への貢献も目指しています。Web業界はエンジニアに問題解決能力がもともとある前提で、「基本的に、自分で頑張って解決してくださいね」と育成がなされる文化があると感じています。問題解決能力がある人にとっては成長できる環境だと思いますが、誰しもそうではないと思います。日本社会を支えるエンジニアが今以上に活躍するようになるためには、丁寧で実践的な教育の普及が大切だと考えています。問題をどう解決すればいいのかで迷う人は多いと思いますし、TechTrainユーザーの中にはスキルアップするために何をしたらいいのか分からず悩んでいる人もいると思います。TechTrainは、現役で活躍しているエンジニアから直接話を聞くことができるのが一番のメリットだと思います。技術やキャリアについて思う存分質問して、上手く生かしていってもらいたいです。

-最後に、Wangchangdogさんの今後の目標を教えてください

今ある状況は、5年前に私が望んでいたものではなかったかもしれません。非常勤講師は高専時代の友人からたまたま声を掛けてもらったことがきっかけで始めました。当初は、知識経験をシェアすることで自分の理解が深まるのではという想いでしたが、やってみたら生徒の変化や成長を身近で感じられることに面白みを感じています。80&Company.で新規事業開発にがむしゃらに取り組んだことも、さくらインターネットでクラウド開発に挑戦できたことも想定していたわけではなく、様々な事象がたまたま重なった運の良さだと思います。

メンターや講師業は引退するまで続けていきたいです。様々な刺激を自分に取り入れ、それを社会の役にたてるエネルギーに変換していきたいです。そして、理系エリートがITエンジニアを目指すような日本になって欲しいという夢もあります。エンジニアはいい仕事だということをエンジニアを目指す若者に伝え続けていきたいです。

スキーも刺激のひとつ

Wangchangdogさん、インタビューありがとうございました。学生のレベルに応じたアドバイスを意識されているとのことで、TechTrainユーザーの方も安心して相談できるのではと思います。エンジニアという職種の面白みを聞くことで、さらに学習モチベーションがアップしそうですね。

TechTrainでは今回インタビューに答えて頂いたWangchangdogさんをはじめとして、150名以上のメンターから無料で1on1メンタリングが受けられます。サイドメニューの「面談予約」からぜひメンタリングの予約をしてみてください!