「伝えること」にこだわる武田憲太郎さんが貫くエンジニアの流儀

2025.09.13読了目安: 8
メンターインタビュー
「伝えること」にこだわる武田憲太郎さんが貫くエンジニアの流儀

現在Laravelスペシャリストとして、PHP(Laravel)のOSS活動や登壇を積極的に行う武田憲太郎さん。インタビューの前に送っていただいたブログをもとに、“シンプルさ”を追求する姿勢を原体験から探っていきます

https://no-hack-no.life/post/2020-05-09-my-first-programing/

読み終えた頃には、きっと「武田さんと話してみたい」と感じるはず。その人柄と経験に裏打ちされた考えを、TechTrainメディアでお届けします!

ものづくりに本気で向き合ってきた時間

プログラミングとの出会いは小学2年生。誰しもが知る某有名RPGの1作目が発売された年でした。休み時間の教室ではみんながこぞって「俺の最強のRPG」を自由帳に描くのがブーム。しかし、父がプログラマーだった私は「動いてこそゲーム!」と、ゲームの写経を始めました。

その後は、数学にのめり込みMathematicaにハマったり、音楽活動のためにMIDIの自作ツールを作ったり、ものづくりが身近にありました。そこには常に”明確な目的”が存在していました。「美しいグラフを描きたい」「より効率的に曲作りをしたい」。他にもたくさんの経験を重ねましたが、どれも納得がいくまでやり切ってきました。この本気で向き合った経験ひとつひとつが、今の自分に繋がっています。

“作品”をつくるという姿勢から生まれるプロの品質の納品物

そんな風に自分が本気で向き合ったアウトプットを“作品”と呼んでます。ミュージシャンを志していたこともあり、時間をかけてでも自分が納得いく“最高の形”に仕上げることが当たり前だという感覚もこのスタンスに影響していると思います。ただ、仕事となるとそこまでこだわり切ることは、なかなかできません。仕事で守るべきは、個人のこだわりではなくプロジェクトの成功、それに応えるのがプロの役割です。実は、私の何十年のエンジニア人生の中で、満足のいく”納品”はできても“作品”まで作りきれたことは、一度もありません。ただ、“作品”を目指した結果、たとえ自分の求める最高の形まで行けなくとも、良いものを作り技術を磨くことができてきたのも事実です。

伝わってこそ価値になる

プロダクトに限らず、登壇資料や技術記事も“作品”です。そして、“作品”をつくる時に一番大事にしているのは「相手に伝わってなんぼ」という視点です。

テーマに合わせた起承転結や、その題材を読む人に合わせた文体など、伝えたい相手に対して伝わる表現を意識しています。この視点は、プロダクトづくりでも変わりません。たとえば、スマホに慣れていないおばあちゃんおじいちゃん向けのアプリと、常にスマホ3台持ってるヘビーユーザー向けのアプリ。この2つを想像したら、UI/UXは同じになるはずがありませんよね?

私は常にこんな風に「どうすれば相手に伝わるか?」を頭のどこかで考えています。なにかアウトプットをする前に「相手に伝わるかな?」と一度立ち止まってみてください。その意識が、“作品”の仕上がりに近づく第一歩になるはずです。

一流は難しいことをシンプルにする

数学の世界では、幅広いことに適応できる普遍的な法則ほど、定理や公理はシンプルです。学生時代、数学のことばかり考えている時間を過ごすほど数学好きの私にとって、シンプルであればあるほど応用が効くという考え方は自然なもの。だからこそ、説明するときや実装するときも“いかにシンプルにするか”を意識するようになりました。

難しいことを難しいままやることは簡単です。その物事を理解して、シンプルで普遍的な法則にできるだけ近い状態に仕上げること。それが一流の仕事だと思っています。

実際に、1億PVをPHP , Laravelだけで捌いたときも、考え方の出発点は「言語不問の王道をきっちりやる」ことでした。詳しいポイントはXにもまとめていますが、ここで大事なのは“まずシンプルに考える”という姿勢です。

具体と抽象を行き来すること

ものごとを“シンプルにする”には、「具体と抽象を行き来する」ことが必要です。まずは、そのものごとに対してしっかり理解することから始めてみてください。

例えば、チケット販売サービスを開発しているとき。チケット販売の仕様が抽象だとしたら、ブースに並ぶ人々のリアルは具体です。そこには必ずヒントがあります。

  1. サービスの仕様が理解できず躓く(抽象)
  2. 普段は足を運ばないが、美術館に行って、チケットブースの観察をする(具体)
  3. 「これか!」と仕様の理解が進む(抽象)

具体的な動きを知ることで、抽象的な仕様の理解が深まるのです。

コードを勉強するときも同じです。

  1. コードの動作を理解する(具体)
  2. そこから汎用的な解法を学ぶ(抽象)
  3. さらに応用して新しいコードを書く(具体)

──このサイクルを繰り返すことで、ものごとをシンプルに考えられるようになっていきます。

時には、そこで煮詰まってしまうこともあるかもしれませんが、そんな時は回り道も大歓迎。その悩んだ時間も含めて、あなたにとって最高の形を実現するための大事な時間になります。

▼参考資料:そーだい(X:@soudai1025)さんのPHPカンファレンス名古屋登壇資料「抽象化をするということ - 具体と抽象の往復を身につける」

Hello world! で味わった感動が未来の力に

ここまで読んで、少し難しい話に感じた方もいるかもしれません。でも、コードを書くときも、登壇資料を作るときも、大事なのは「よりシンプルに考え、相手に伝えること」です。

その上で、私が強く伝えたいのは、どんな立場の人であっても「Hello world!」を表示させたときのあの感動を忘れないでほしいということ。小学2年生の頃、ゲームの写経でエラーに出会うたびに「いつか開発チームに加われるかも!」と胸を躍らせていました。その喜びは、学びの段階の最大の醍醐味です。そして、今の自分をつくった原点にもなっています。

そして、本気で最高の“作品”を目指してみてください。その積み重ねが、未来の自分の力へと必ずつながります。


いかがでしたか?どんなにすごいエンジニアも、はじめの一歩は「Hello world!」です。学びの途中で挫けそうな人も、仕事で行き詰まっている人も、武田憲太郎さんとの面談を通して、シンプルに考えて伝える力を、一緒に磨いてみませんか?

TechTrainでは今回インタビューに答えてくださった武田憲太郎さんをはじめ、150名以上のメンターから無料で1on1メンタリングが受けられます。サイドメニューの「面談予約」から、ぜひ気軽にメンタリングを予約してみてください!

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