今回インタビューするのは、2023年に新卒でサイボウズに入社し、エンジニアとしてのキャリアをスタートさせたKenさん。カナダの大学でコンピュータサイエンスを学び、バックエンドのインターン経験を持つKenさんが新卒1年目で挑んだのは、未経験だったフロントエンド業務でした。「実務経験があっても正直、大変だった」と振り返るその1年。どんな壁にぶつかり、どう乗り越えてきたのか。Kenさんが大切にしてきた視点と思考に迫ります。
「エンジニアって面白いかも」―カナダの大学でものづくりに出会う
海外の大学へ進学したいと考えて調べる中で、カナダはコンピュータサイエンスの教育に力を入れていることを知りました。「せっかくならレベルの高い環境で成長したい」と思い、本格的にパソコンを使ったことはなかったのですが、ブリティッシュコロンビア大学のコンピュータサイエンス学部へ進学しました。
大学ではコンピュータの基礎を学びつつ、Webアプリのチーム開発など実践的な課題にも多く取り組みました。それまでは”使う側”だった自分が、”作る側”としてプロダクトを形にしてくのがすごく楽しくて。フィードバックをもらったり、ちゃんと形になったときの達成感が大きく、「エンジニアっておもしろいかも」と思うように。ものづくりの原体験が、今の原動力になっています。
卒業後の進路では、カナダと日本どちらで働くか悩みました。両国でバックエンド開発のインターンを経験し、最終的には日本での就職を決意。大学を6月に卒業し、2月頃から本格的に選考を受け始め、3月にサイボウズ株式会社から内定をもらいました。
入社は10月。配属先が未定だったので、どの部署に行っても活きる力をつけておこうと思い、入社前の準備に取りかかりました。
入社前にやってよかった!土台になる力を鍛える
「入社後すぐに力を発揮したい」と思っていた私が、入社前にやってよかったと思うことが2つあります。
まずひとつ目は、コンピュータサイエンスの基礎を押さえておくこと。OSやネットワーク、メモリといった仕組みを理解していると、コードを読んだときの理解度がまったく違ってきます。表面的な動きだけじゃなく内部構造から理解できるようになり、実装の引き出しも増えました。大学で学んでいた内容を、入社前に整理し直しておいたことが、業務の立ち上がりを早くした実感があります。
もうひとつは、物事を要素に分解して考えるクセをつけること。この思考は、エラー対応や業務改善の場面で本当に役立ちます。「どこまでがうまくいっていて、どこからうまくいってないのか」を切り分けられると、解決までの道筋が見えてくるんです。一見すると複雑に見える問題も、小さな要素に分解していくと、次にやるべきことが明確になってきます。私の場合は、学生時代のインターンや部活でうまくいかなかったことを「なぜダメだった?どうすればよかった?」と振り返る思考習慣が、今も大きな支えになっています。難しいことではなくて、たとえば日常生活で「この作業、なんで時間かかるんだろう?」と考えるだけでも効果的です。そうした“分解力”は、どんなチームでも重宝されるスキルだと思います。
この2つがあれば万全というわけではないですが、なかったらもっと苦労していただろうと思います。「本当にやっていけるのかな?」という不安は常にありましたし、どんなに準備をしても入社後に覚えることもたくさんあるだろうと思っていたので、自分にできる準備はやっておきたいという思いでした。
技術も知識も追いつかない中で直面した、入社1年目のリアル
配属されたのは、10年以上運用されている製品を手がける開発チームでした。そこで任されたのは、まさかのフロントエンドのリアーキテクチャ。学生時代はバックエンド中心に学んでいたので、フロントエンド技術には軽く触れたことがあるくらいでしたが、むしろ未経験だからこそ、前向きに挑戦してみたいという思いもありました。ただ、対象となるのは、古い技術と新しい技術が絡み合ったコードベース。複数のフレームワークに関する知識が求められ、最初はめちゃくちゃ焦ったのを覚えています。
さらに大きな壁になったのが、製品固有のドメイン知識です。入社して最初のころは、ドメイン知識が足りなくてエラーの原因特定に時間がかかったりすることがよくありました。「これで大丈夫かな」と漠然とした不安を抱えながら取り組んでいたように思います。とはいえ、自分にできるのは地道に向き合うことだけ。まずは理解するところからと決めて、ひとつずつ取り組みました。
未経験技術にどう立ち向かう?技術キャッチアップの型とは
最初に取り組んだのは、技術の全体像をつかむことでした。まずは公式ドキュメントを読み込みながら、「ちゃんと理解できているかな?」と自分に問いかけつつ、小さなアプリを作ってみることも。ただ使い方を学ぶだけでなく、「なぜこう設計されているのか」「どんな場面で使うのか」といった背景まで理解することを意識していました。コードの裏にある思想や文脈まで含めて理解しようとすると、時間はかかるけれど、応用が効く力になると感じています。
他にも、社内の技術資料に目を通して、内部設計やコードがどうなっているのかを確認したり、必要な情報源にアクセスして、ひとつひとつ丁寧に理解していくことも心がけていました。そうやって時間をかけてでもちゃんと向き合う姿勢が、私なりのキャッチアップの仕方だったと思います。
「プロダクトを使い倒す」「質問する力」で成長が加速
ドメイン知識不足を解決するために意識していたのが、プロダクトを隅々まで触ってみることでした。ユーザーとして実際に製品を使ってみると、「あ、こういうことだったのか」とそれまで断片的だった知識が、少しずつ繋がって見えるようになる感覚がありました。
加えて、社内の詳しい人にどんどん相談するようにしていました。というのも、質問するハードルが低い人ほど、早く成果を出している印象があったんです。わからないことをすぐに解消できるから、次の課題や挑戦に早く進めるんですよね。私も最初は「自分で全部調べなきゃ」と思いがちだったんですが、思い切って他部署の方に質問してみたら、一瞬で解決したことがあって(笑)。それ以来、質問できるネットワークを築くことの大切さを実感しています。
入社1年目で一番大事だと感じたのは、とにかく「プロダクト」「情報」「人」との接点を増やすこと。プロダクトに触れて、ドキュメントを読んで、人と話してみる。その行動だけで、成長がぐっと加速する気がしました。成果を早く出したいのであれば、まずはプロダクトを使い、そしてどんどん質問をしていくことから始めてみるのが一番の近道だと思います。
「問い」から始まる、自分らしい仕事のつくり方
仕事を進めるうえでずっと意識しているのは、「与えられた仕事をただこなすのではなく、自分なりの問いを持つこと」です。まさに、前述の分解力が活かされてきます。たとえば、ある機能を実装するときも、「なぜこの方法が選ばれているのか」「もっと良いやり方はないかな?」と考えるようにしていました。その問いがあるだけで、学びの深さが全然違ってくるんですよね。「小さなことかも…?」と思ってもまずは行動に移す。仮にその場で採用されなくても、その思考や試行錯誤が、後から必ず活きてくると感じています。そして行動のあとには、自分で振り返ったり、周囲に意見をもらったりして、そのフィードバックを次に活かす。このサイクルを大切にしています。それから、チームとのコミュニケーションでも同じです。自分だけで抱え込まずに、気づいたことを共有する。その小さな行動で、周りが「じゃあこうしてみようか」と反応してくれて、チームがちょっとずつ前に進む感覚があります。
とはいえ、すべてを完璧にやろうとすると、どれも中途半端になってしまう。だからこそ、いま本当に優先すべきことは何かを見極める意識も大切にしています。特に、新しいチームに入ったばかりの時は迷いも多いですが、そういう時こそ相談するのが一番の近道。 遠回りに見えても、結果的に一番スムーズに進めることが多いと感じています。
これからプログラミングを学ぶ人へ。まずは“分からない”を楽しもう
プログラミングを学び始めたばかりの頃って、「何が分からないのかすら、分からない」という状態になりがちですよね。私も大学で初めてコードに触れたときは、エラーの原因も分からず何時間も悩んだことも。その時に感じた大変さを今も覚えているので、これから学ぶ人ができるだけスムーズに進めるよう、難しいことこそシンプルに伝える姿勢を大切にしています。
プログラミングの学習は、つい効率を求めすぎて慎重になってしまうこともあるかもしれません。でも、学びの中で大事なのは、失敗を恐れず、まずはやってみること。たとえ上手くいかなくても、「やってみた」という経験が、必ず次につながります。最初は誰でも初心者です。焦らず、自分のペースで、一歩ずつ。一緒に挑戦して、一緒に成長していきましょう。
Kenさん、インタビューありがとうございました!
海外の大学に進学し、未経験の領域にも挑みながら、試行錯誤を重ねてきたKenさんの姿から、「まず一歩踏み出すこと」の大切さを感じた方も多いのではないでしょうか。目の前の“小さな違和感”に目を向けることが、次の成長へのヒントになるかもしれません。
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