今回は、Ubie株式会社で人事企画から労務、採用まで、HR周りで幅広く活躍されているGisshiさんのインタビューです。今までのご経歴から、自社の組織作りやキャリア選択のポイントなどを聞いていきます。
HRに足を踏み入れたきっかけを教えてください
私のキャリアは、決して順風満帆ではありませんでした。高校卒業後、アメリカの大学に進学しましたが、「大学で勉強してるよりも早く社会に出て実力を試したい!」という強い思いから中退を決意。日本に帰国後、就職活動をするものの、大学中退という経歴に対する社会の目は厳しく、50社以上に書類を送っても、書類選考通過0件という厳しい現実を突きつけられました。さらに、24歳の誕生日直前に東日本大震災が発生し、内定取消になるといったことも重なり、かなりツラい時期を過ごしました。しかし今振り返ると、自身この苦しい時期と重なった震災だったからこそ、頭の中に当時の印象が強く残っており、それが後述する福島県の被災地に再建された高校でのキャリア教育や、昨年の仙台移住に繋がっているのかもしれません。
初めて正社員として働いたのは、映画祭イベントの企画運営会社でした。イベント事業の他に人材派遣事業も手掛けており、バックオフィス管理や人事の仕事を幅広く任されました。この経験を通して、フロントに立つよりも縁の下で力を尽くす仕事に魅力を感じるようになり、次第にHRの仕事を次のキャリアとして本格的に考えるようになりました。
どのようにHRの経験を積んできましたか
様々なフェーズ、事業の企業でHRを経験する中で、スキルや経験を磨き上げていきました。
2社目のDMM.comでは労務をメインに担当。比較的システム周りが得意だったこともあり、SmartHRの導入をリードするなど、HRにおけるプロダクト選定の経験を積むことができました。また、チーム再編の流れで採用やマネジメントなどチーム作りも経験し、メンバーに権限移譲することの大切さや、一人ひとりにあった目標設定による働きがいの醸成の大切さを学びました。この経験は、後にスタートアップで1人目○○を脱却し、チームを組成するうえで非常に役立ちました。
そして大きな組織での経験を経て、次は縦割りではなく幅広い業務を経験できる、少人数スタートアップでのHR業務に挑戦したいと考えるようになりました。また、過去に自身が就活で苦しんだ経験から、大学で学んだスキルなどが就活では見向きもされず、大学の総合偏差値等で評価される社会に疑問を持っており、それを打破したいという想いから、理系学生向けダイレクトリクルーティングサービスを提供する株式会社LabBase(旧社名 株式会社POL)に転職。面接のタイミングでは社員数約10名、2ヶ月後の入社のタイミングでは約20名に、そして退社する1年3ヶ月後には50名超にまで増え、組織がどのように成長するのかを当事者という立場から見ることができました。余談ですが、LabBase時代に副業で手伝ってくれた、現TechTrainエンジニアのスーさんとのご縁で、今回メンターにジョインする運びとなりました。
LabBase退職後、キャリア×教育をより追求したいという思いから、友人が以前インターンしていた認定NPO法人カタリバを紹介してもらい、1年間キャリア教育を担当。福島県の中高一貫校に赴き、キャリアの選択肢を生徒と一緒に考えたり、学外の人とのつながりを生み出す活動をしました。2022年から高校で「探究」という授業が義務化されるのに先駆け、先進実験校として学校の先生たちと一緒にカリキュラムを考える機会にも恵まれました。「探究」は、課題を自分で設定し、解決していく必要があり、まさに仕事と同じ頭の使い方をするので、今までの社会人経験を活かすことができました。
カタリバでの任期を終え、LabBase時代から副業としてジョインしていた地域創生系のスタートアップである株式会社おてつたびにて正社員として参画。コーポレート周りの立ち上げや広報チームの立ち上げ、SNSマーケ、カスタマーサポートなど幅広い業務を担当しました。
そして現職であるUbieとの出会いは、たまたまスカウトをもらったことから始りました。Ubieは当時から人事として面白い施策を実践していることで人事界隈でも有名で、社員全員が組織作りに力を入れている企業でのHRポジションの挑戦は非常に魅力的でした。そして過去に教育系NPOで一緒に活動していたメンバーがUbieに在籍していたことも後押しとなり、一度は内定を辞退したものの、最終的には転職を決意。Ubieでは、アクセラレーター本部という組織で人事や労務、組織文化作り、採用、海外子会社の管理など多岐にわたる業務を担当しています。
Ubie株式会社での組織作りについて詳しく聞かせてください
Ubieは組織作りにかなり力をいれていますが、中でも特徴的な2点をお話しします。
1点目は、会社のカルチャーを徹底的に言語化していることです。ホームページやnoteなどのサイト上でUbieのカルチャーに関する資料を多く見つけることができると思いますが、創業初期からコンサル出身のメンバーが多く、考えを言語化・可視化することに長けていることもあり、以前より言語化にはこだわりを持っています。また組織や事業のフェーズの変化に合わせてカルチャーを常にアップデートしています。トップダウン・ボトムアップを上手く組み合わせながら、全社員でカルチャーを議論し徹底的に言語化する過程で、カルチャーが社員一人ひとりに徐々に浸透していき、最終的にはメンバー同士の共通言語となり、意思決定における優先順位や基準となります。こうしたカルチャーへのこだわりが、Mission・Visionの達成に役立っていると考えています。
2点目は、カルチャーにマッチする人を採用することにこだわっていることです。いくら組織作りに注力しても、たった一人カルチャーに反する人が入ることで一気に崩れてしまう組織を過去にいくつも見てきました。採用は単にスキルや経験だけでなく、その人が会社のカルチャーに合うかどうかを見極めることが重要だと考えています。一方でUbieでは採用面接官は人事だけが行なうのではなく、原則、全社員が面接に参加しています。むしろ人事が面接フローに入らないことの方が大多数です。そのため、面接におけるカルチャーの見極めには工夫をしています。
カルチャーが候補者に”合うか合わないか”をどのように見極めていますか
候補者と会社のカルチャーマッチを測る上で、UbieではValueを更に分解したUbieness/Umapと呼ばれるスタンス・コアスキル項目を面接で利用しています。こちらは各項目ごとに行動指針のようなものが明記されており、Ubieの社員自身も自己成長の物差しとして普段社内で利用しているものです。これらの各項目に紐付いた質問例を用意することで、人事以外のメンバーが面接を行なっても、カルチャーマッチの見極めができるようになっています。
また面接では会社が一方的にカルチャーマッチを見極めるのではなく、候補者の方もUbieのカルチャーを見極めてほしいと考えています。Ubie社内では「パクチー採用」と呼んでいるのですが、Ubieのカルチャーが好きな人もいれば、合わないと感じる人がいても正解だと思っています。そのなかで、Ubieのカルチャーが好きと感じる人と一緒に働きたいと考えているので、過去には行動指針をより具体・言語化した【Do's and Don'ts】をカルチャーガイドとして公開するなど、カルチャーの言語化と公開/透明性がカルチャーのミスマッチを防ぐ上で重要と考えています。
TechTrainユーザーに一言メッセージをお願いします
ここまで読んでくださった皆さんに向けたエールとして、自分の考えを大切にし、自分が活躍できる環境を見極めることが大事だと伝えたいです。入社する側も、会社側にとっても、お互いのカルチャーがあっているかを見極めることが大切だと思っています。決して、ネームバリューだけで判断せず、自分の価値観やライフスタイルに合った企業を選んで欲しいと思います。特にこれからの時代、生成AIの発展などでスキルや環境、経験の差は小さくなっていくからこそ、自分が会社で何を成し遂げたいのかが、自身の成長に繋がると考えています。
今まで組織作りや採用・教育など人事領域で多くの人を見てきた経験、カルチャーマッチ見極めの慧眼はあると自負しているので、今の会社が自分と合っているのか悩んでいる方や、選考を受ける企業とのカルチャーマッチに不安がある方は、ぜひ面談しましょう!
インタビューありがとうございました!
社会人生活は波乱のスタートから始まり、様々な企業でHRとして経験を積んできたGisshiさん。キャリアを選ぶ上で、カルチャーが合うか合わないかの見極めの重要性を語っていただきました。価値観の言語化、カルチャーマッチの見極め、今後の進路に悩む方は、ぜひキャリア教育のご経験もあり、言語化の最強メンターのGisshiさんに相談してみてください。
TechTrainでは今回インタビューに答えて頂いたGisshiさんをはじめとして、150名以上のメンターから無料で1on1メンタリングが受けられます。サイドメニューの「面談予約」からぜひメンタリングの予約をしてみてください!