• ちゅーやんさんが明かすスキル爆上げのカギ「公式ドキュメント」の読み方

ちゅーやんさんが明かすスキル爆上げのカギ「公式ドキュメント」の読み方

2025.01.28読了目安: 10
メンターインタビュー
学び方
ちゅーやんさんが明かすスキル爆上げのカギ「公式ドキュメント」の読み方

この記事に登場するメンター

今回は、Flutterエンジニアとして活躍されているちゅーやんさんのインタビューです。今までのご経歴やフリーランス転向後の幅広い活動について詳しく聞いていきます!

ご経歴を教えてください

プログラミングはほぼ未経験で、新卒で自社アプリ開発会社へ入社。新人研修で、CPUやメモリの動きから、C言語で”Hello, World!”を出すところからプログラミングの基礎を学びました。研修後はOJT形式でJavaを学び、その後バックエンド開発とAndroid開発を7年ほど経験しました。

7年間会社に在籍する中で、会社の給与テーブルの枠組みの中でしか給与を上げていくことができないもどかしさや、会社というひとつの組織内の常識のみに囚われることなく、世の中にどんなエンジニアがいて、どんなことをしているのかを知りたいという気持ちを抱いていました。30歳になるまでに一度フリーランスを経験しておきたいと思い、29歳の時に退社しフリーランスへ転向。今ではFlutterを専門として開発、講師、TechTrainメンターなど様々な業務に携わっています。

どういう経緯でFlutterエンジニアになりましたか

当時はバックエンド開発とモバイル開発の経験が同じくらいあり、同じくらい好きでした。フリーランスとしてモバイルアプリの開発案件を任せられることの方が多かったので、自ずとAndroidアプリやiOSアプリ開発をする人になっていきました。

わたしはAndroidの経験しかありませんでしたが、「こういうモバイルアプリを作って欲しいんだけど、できる?」というお話を受け、「Androidしか分からないですが、iOSも頑張ってやりますよ~」と挑戦したことが何度かあり、そのおかげでiOS開発の経験を積むことができました。Flutterに関しても、クライアントから「ちゅーやんさんならできるだろうから、Flutter開発よろしく」と依頼されたことがきっかけで使うことになりました。

一般的に、フリーランスは今ある技術で勝負することが多いです。これは仕事の取り方に左右され、とりわけエージェント経由だと実績ベースで判断されることが多いと感じています。しかし、私が未経験のiOS開発やFlutterを触るようになったのはクライアントからの直接の相談がきっかけでした。運が良かったのだと思いますが、このようにクライアントから相談されるポジションを築いていくことで新しい技術に挑戦したり得意領域を広げていくことは可能だと思います。

ただ、未経験からスタートしたFlutterは、業務で使い始めてから2年くらいの間は、目の前のエラーを解決するために技術記事を読んでは解決、読んでは解決、の繰り返しでした。そんな中、コロナ禍で業務が減り、時間に余裕が出てきました。

余裕が出てきて、何か変わったことはありましたか

なんだか暇になってしまったので「記事でも書こうかな」と思い、それならば公式ドキュメントを読んでみよう!とひらめきました。

Flutterの公式ドキュメントは、他技術よりも読みやすいと言われていますが、それでも結構なボリュームがあります。私は、Inside Flutter というFlutterの内部構造を解説したドキュメントを1~2日ほどかけて読みました。英語表記で、内容も難しく1回読むだけでは理解できない部分も少なくなかったので、私自身はしっかり理解できるまで5回読みました

公式ドキュメントを効率的に読むコツはありますか

公式ドキュメントはボリュームがあるため、途中で断念してしまう懸念があります。ドキュメント内には様々なトピックがあるので、まずは自分が気になっていることや問題を抱えている内容が記載されているページから読み始めましょう

Flutterの場合はバージョンアップが盛んなので、一般公開されている技術記事だと情報が古いことがあります。技術記事の情報は古くても放置されてしまうので、実務でばりばり使っている人はもちろん、これから学ぶ人も公式ドキュメントを読むことを大事にするのがおすすめです。意外と平易な英語で書かれているので、DL翻訳でも意味が大きく崩れることは少ないです。

ちなみに、私がドキュメントを読んだ2020年頃は公式ドキュメントに則った内容の技術記事は非常に少なかった印象ですが、近年は見るようになってきました。技術記事を参考にした場合は、リファレンスとして公式ドキュメントを参照する癖をつけていけると良いです。

公式ドキュメントを読む前と後での変化を教えてください

公式ドキュメントを読んでからは、業務においてのエラー処理のスピードが格段に速くなりました。以前は、クラスやメソッドが無機質に列挙されているだけの印象を持っていて、このエラーはこう解決するといった場当たり的な対応をしていました。ドキュメントを読んで仕組みから理解してからは、エラーの意味をすぐ理解することができましたし、そもそもエラーに遭遇する頻度が激減したので業務効率がぐっと上がりました。

また、技術記事の執筆やカンファレンス登壇など情報発信のためのアウトプットの質が格段に良くなりました

記事を執筆する際に高い頻度で抱く不安が、「自分が書かなくても他の人が書いているのでは?」ということでしょう。先にも書いたように、2020年当時は公式ドキュメントに関連する内容の記事を目にすることはなかったので、執筆のネタとしてもってこいだなと思い、不安を抱くどころかむしろ執筆意欲が上がりました。日本語の執筆に加え、海外向けの英語記事も執筆。Flutterの内部構造と該当するソースコードをメインに記事をまとめたところ、思っていたより良い反応をもらうことがでました。コロナ禍では仕事が少なかったので1ヶ月で1〜2万字の記事を3〜4つ執筆。その後仕事が増えてきても、1年に2〜3記事ペースで執筆を継続しています。

それ以外にも、内部実装の発信をしたことでの変化がありました。2021年からスタートしたカンファレンス FlutterKaigiのプロポーザルに応募し採択され、その後も第3回、第4回開催でも内部実装にフォーカスした内容を発表することができました。その他、FlutterGakkaiや海外の方も訪れる英語で開催されるカンファレンスFlatterNinjasでも登壇することになり、海外でも内部を知りたい人が多いのだと気付きました。

アウトプットの質が上がったことで、何かいいことはありましたか

キャリアの見せ方やお仕事の受け方において大いに生かされていると思います。

フリーランスは、個々人の露出の内容や頻度によって外部からの評価を受ける傾向にあります。技術記事の執筆の質が上がることでFlutterに詳しい人だと認識してもらえて仕事の依頼DMをいただいたり、カンファレンス等イベント後の懇親会での出会いから仕事につながることが増えました。

スキルアップできたことは言わずもがなです。分からないことが出てきた時、公式ドキュメントと内部実装を読めばすべてが分かるという状態になったので、第三者による技術記事を読むことがほとんどなくなりました。今でも公式ドキュメントの各所ページを読んで知見を広げています。内部実装は奥が深く、時間をかけて調べれば調べるほど内部ソースコードを読める状態になり、執筆や登壇に活かしています。

TechTrainユーザー方へ、メッセージをお願いします

何か分からないことがある時、QiitaやZenなどの技術記事を読むことがあると思いますが、その後に必ず該当する公式ドキュメントを読む癖付けをしましょう。技術記事公式ドキュメントを読むことで正確な情報を確実に得ることができます。とはいえ技術記事に意味がないわけではありません。詳しくは以下の記事にまとめています。

そして、もし技術記事等でご自身の知識や経験をアウトプットしていきたいと思うなら、一次情報である公式ドキュメントの参照リンクを載せておくと、ユーザーがわざわざ自分で探す必要がないので親切かなと思います。

参照リンクの載せ方例:

技術について調べる時は、必ず公式ドキュメント!これを徹底して、スキルアップを目指していきましょう。


公式ドキュメントを活用したちゅーやんさん直伝のFlutter学習ロードマップもMediaにて公開中です!