- Sensuiさんが語る、キャリアへの向き合い方
Sensuiさんが語る、キャリアへの向き合い方
この記事に登場するメンター
今回は、数々の企業で輝かしいご経歴をお持ちのTechTrainメンターのSensuiさんに、キャリアの観点でお話を伺いました。キャリアの転機では、どのようなことをお考えになり、モチベーションが変化したのかなどお聞かせいただきましたので、キャリアに悩む方はぜひ最後までお読みください!
今までのご経歴を教えてください!
SIerでの受託開発を経て、2012年に株式会社サイバーエージェントに入社しました。様々なプロダクト開発の傍ら、立ち上げた横断組織でシステムの性能改善や Web 技術の推進に従事しました。
2018年に株式会社メルカリに入社後は、株式会社メルペイの Frontend チームを立ち上げ、メルカリWebの刷新やメルカリアプリの刷新を牽引した後に、執行役員 VP of Engineering としてメルペイのエンジニアリング部門を管掌しました。
2023年4月にデジタル庁にジョインして行政のデジタル化に貢献。2023年7月に株式会社ハウテレビジョン入社、執行役員プロダクト本部長に就任し、事業と組織の成長を主導しました。
現在は様々な組織に関わりながら、TechTrain ではメンターとして活動させていただいています!
過去、どのようにキャリアと向き合ってこられましたか?
『手に職をつける』ために新卒1社目を選択
学生時代は植物生理学を専攻しており、白衣を着て試験管を振っていたタイプの学生でした。就職先としてメーカー等も考えていましたが、「手に職を付けたい!」と思っていたので、比較的関心を持っていたソフトウェア開発の道に進むべく独立系 SIer に入社することを決めました。
入社当時はコンピューターサイエンスの知識やプログラミングの経験はなく、入社後の研修で学びました。新卒を育成する文化およびプログラムが充実している点は日本の新卒採用の良いところだと思います。1社目では自分の手でモノを作るという、非常に良い経験ができました。
『技術力を磨く』ために転職
その後、ミッションを共にする仲間と技術力を磨きながらモノづくりがしたいと思うようになり、サイバーエージェントに入社しました。一時期はおざまささんとも一緒にお仕事していました!
技術を磨いてプロダクトに活かすことは求められましたし、対外的に発信していくことも企業ブランディングのひとつとしてしっかり評価いただき、モチベーションは高い状態でした。いくつかのプロダクトにコミットする傍ら、開発組織に横断で関わったり、エンジニアの採用や評価の業務に携わるなど手広くやらせてもらった実感があり、転職して良かったと今でも思います。
こうした業務を通じて、技術者として事業に貢献できる感覚を得られ、エンジニアとしてやっていける自信を持てるようになり、次第に「自分が何に貢献できるか」を考えるようになりました。サイバーエージェントはとてもいい会社で今でも感謝していますが、働く中で日本の課題にアプローチしていきたいという想いを抱くようになりました。
『日本の課題を解決したい』と思い、転職
2017年末から2018年にかけてキャッシュレス界隈が盛り上がっていました。その頃にメルカリが決済事業を立ち上げるタイミングに遭遇し、こういうチャンスは2度とないだろうと思い、メルペイに転職しました。
入社後は、メルペイのローンチに向けて Frontend チームの立ち上げやプロダクトの開発にコミットしました。会社としても組成されたばかりのタイミングでカオスな状況下でしたが、それを楽しめていました。
途中からメルカリ Web のプロジェクトも担当するようになったこともあり、気付けば業務も役割も増えたり広がったりして、最終的にはエンジニアリングの担当 VP として経営に従事しました。
『もっと世の中を知るべきだ』と思い、大学へ再入学
メルカリに入社した時から当時のメルペイ CTO とよく話をしていました。技術に長けているのはもちろんですが、経済や社会における信用や価値交換がどうあるべきかを深く考えている方で、入社前のカジュアル面談でも「世の中のあらゆる価値交換の摩擦をなくしていきたい」と語られていたのが印象的でした。
自分では想像もつかない世界観の話をするので、自分の教養や視野の狭さに気づかされ、軽くショックを受けたと同時に、関心事が今まで以上に「社会」にシフトしました。「もっと世の中のことを知らなくてはならない」と思い、経済学を学ぶために大学に入りました。また、このタイミングからかなり本を読むようになりました。多様な知識を持つことは豊かな視点を持つことに繋がりますし、仕事においても役割が変化する中で、いわゆるソフトウェア開発以外の仕事をする中でも活かされていると感じます。これは知識間のアナロジーを通じて理解や思考が発展していくと共に、人間の強みであり AI の弱みでもある「幅広い知識の統合」だと思います。
会話のプロトコルを合わせる重要性は色んな場面で幾度となく感じてきましたし、力不足も痛感してきました。例えばエンジニアが「この技術を使いたい」と言っても、他の職種からすればその合理性を理解することは困難です。同じ課題を解くために組織に人が集まり、異なる専門性をぶつけ合っているわけですから、自分の専門領域以外のことも理解(しようと)することは、他者の考えに共感することに繋がり、より優れた協調に向けては欠かせません。
技術と共に歩むキャリア、その先に望むもの
ソフトウェアエンジニアリングを軸にしつつも、様々な事業ドメインの会社でプロダクトのローンチや会社の上場、プレイヤーから経営まで、多様な役割・状況・環境を経験してきました。本業の他にも、アドバイザーとして様々な組織に関わる機会があり、経験を活かしたり更なる学びを通じて、支援の形も多岐化しています。
このソフトウェアや AI の時代に技術はあらゆる前提ですし、何より技術そのものが好きなので、エンジニアリングへの情熱はこれからも変わらないと思います。後進の育成という意味で TechTrainでの活動もそうですが、課題を抱えるプロダクト開発や組織の現場にこれからも関わり、これからを担うプロダクトや業界の発展に寄与できれば幸いです。
最後に、TechTrainユーザーに一言お願いします!
技術者の本分として、技術で貢献することは最も重要です。しかし、技術以外にも必要な知識や経験を磨き、課題そのものに向き合うことを大切にしてください。
キャリア形成は「n年後を見据えて○○をする」という帰納的な考えもありますが、自分はそうではなく「その時々で必要な選択をする」という歩み方をしてきました。そのおかげで今がありますし、後悔もしていません。そうした演繹的な歩み方も自分の望むキャリアを掴む上で近道なのではないかと考えています。
輝かしいご経歴ですが、その裏ではキャリアに数多く悩まれてこられたSensuiさん。エンジニアのキャリア相談も大歓迎だそうです!
TechTrainでは今回インタビューに答えて頂いたSensuiさんをはじめとして、140名以上のメンターから無料で1on1メンタリングが受けられます。サイドメニューの「面談予約」からぜひメンタリングの予約をしてみてください!